【監修者:Y.Y(美容師国家資格所有)】
透明感のあるハイトーンカラーや、鮮やかなデザインカラーを楽しむために欠かせない「ブリーチ」。しかし、その一方で、「髪がギシギシできしむ」「毛先がパサパサでまとまらない」「濡れると髪がゴムみたいに伸びる」といった深刻なダメージに悩んでいませんか?
ブリーチ後の美しいヘアカラーを長く楽しむためには、日々のヘアケア、特に「トリートメント」の使い方が非常に重要になります。せっかく高い効果のあるトリートメントを使っていても、その使い方を間違えていると効果は半減してしまいます。
この記事では、美容師国家資格を持つ私が、ブリーチで傷んだ髪をいたわるための「洗い流すトリートメント」と「洗い流さないトリートメント」の役割の違いから、それぞれの効果を最大限に引き出す正しい使い方、そしてプロが推薦するおすすめのアイテムまで、徹底的に解説します。
この記事でわかる事
そもそもなぜ?ブリーチで髪がひどく傷む理由

ブリーチ後の適切なケア方法を知るために、まずはなぜブリーチをすると髪が傷むのかを理解しましょう。
ブリーチ剤は、髪の内部にあるメラニン色素を分解して髪色を明るくする強力な薬剤です。しかし、その過程で色素だけでなく、髪の主成分であるタンパク質(ケラチン)や、髪のしなやかさを保つために重要な脂質(CMC)までも一緒に破壊してしまいます。
その結果、髪の内部は栄養が抜け落ちてスカスカの状態になり、表面を覆っているキューティクルも剥がれやすくなります。これが、ブリーチ毛特有の「ギシギシ感」や「パサつき」、そして「切れ毛」の正体です。この状態の髪は、外部からの刺激に非常に弱く、水分や栄養分もすぐに流れ出てしまいます。
だからこそ、日々のケアで失われた栄養を補給し、髪を外部刺激から守ってあげることが何よりも大切なのです。
ブリーチ毛ケアの鉄則!「ダブル使い」が重要な理由

ブリーチ後のダメージヘアを効果的にケアするための最大のポイントは、「洗い流すトリートメント」と「洗い流さないトリートメント」の2つを必ずセットで使うことです。それぞれに異なる重要な役割があります。
洗い流すトリートメントの役割:内部補修
お風呂の中で使う「洗い流すトリートメント」の主な役割は、髪の内部に栄養分(タンパク質や水分)を補給し、ダメージホールを埋めることです。髪の芯からダメージを補修し、ハリやコシのある状態に近づける「集中ケア」の役割を担います。
洗い流さないトリートメントの役割:外部保護
お風呂上がりの濡れた髪に使う「洗い流さないトリートメント」の主な役割は、髪の表面をコーティングし、擬似的なキューティクルを作ることです。ドライヤーの熱やブラッシングの摩擦、紫外線などの外部刺激から髪を守ると同時に、洗い流すトリートメントで補給した栄養分が流れ出ないように「フタをする」役割を担います。
この2つを両方使うことで、初めて「補修」と「保護」が両立でき、効果的なダメージケアが実現するのです。
効果を最大化する!トリートメントの正しい使い方【完全版】

ここでは、「洗い流すタイプ」と「洗い流さないタイプ」、それぞれの効果を最大限に引き出すための正しい使い方を、手順を追って詳しく解説します。
【お風呂編】洗い流すトリートメントの正しい使い方
- シャンプー後、水気をしっかり切る
髪に水分が多く残っていると、トリートメントが薄まってしまいます。シャンプーをすすいだ後、根元から毛先に向かって優しく握るようにして、水気をしっかりと切りましょう。 - 毛先中心にたっぷり塗布する
トリートメントを適量手に取り、最もダメージの気になる毛先から揉み込むようになじませます。その後、髪の中間へと広げていきます。根元につけるとベタつきの原因になるので避けましょう。 - 目の粗いコームでとかす
目の粗いコーム(櫛)や手ぐしで優しく髪をとかし、トリートメントを髪一本一本に均一に行き渡らせます。このひと手間で、仕上がりに大きな差が出ます。 - 5〜10分放置して浸透させる
髪全体になじませたら、5〜10分ほど時間を置いて成分を浸透させます。蒸しタオルやシャワーキャップをかぶると、スチーム効果でさらに浸透率がアップします。 - ぬめり感が少し残る程度にすすぐ
時間を置いたら、ぬるま湯で丁寧にすすぎます。この時、完全にキシキシになるまですすがず、髪に少しぬめり感(=うるおいの膜)が残る程度で終えるのがポイントです。
【お風呂上がり編】洗い流さないトリートメントの正しい使い方
- 優しくタオルドライする
お風呂から出たら、ゴシゴシこすらずに、タオルで髪を優しく挟み込み、ポンポンと叩くようにして水分を吸い取ります。ブリーチ毛は摩擦に非常に弱いことを忘れないでください。 - 毛先中心になじませる
洗い流さないトリートメント(オイルやミルク)を適量、手のひら全体に薄く広げます。そして、ダメージの激しい毛先からつけ、残りを髪の中間になじませます。 - 再度コームで均一にする
ここでも目の粗いコームを使い、髪全体に均一に行き渡らせます。 - すぐにドライヤーで乾かす
髪は濡れている状態が最もダメージを受けやすいため、トリートメントをつけたら時間を置かずにすぐに乾かし始めましょう。根元から乾かし始め、最後に上から下に向かって風を当てるとキューティクルが整い、ツヤが出ます。
プロ推薦!ブリーチ毛におすすめのサロン専売品ヘアオイル3選
深刻なダメージを負ったブリーチ毛には、補修力と保護能力に優れた高品質な洗い流さないトリートメントが不可欠です。ここでは、数あるサロン専売品の中から、特にブリーチ毛のケアに定評のある人気のヘアオイルを3つ厳選しました。
ミルボン ディーセス エルジューダ ブリーチケア セラム
【こんな人におすすめ】
- ブリーチによる髪のゴワつきや硬さが気になる方
- しなやかで、まとまりのある髪にしたい方
- 透明感のあるクリスタルムスクの香りが好きな方
まさにブリーチ毛のために開発された専用のヘアセラム(オイルタイプ)。オイル化グリセリンという成分が、髪の内部の水素結合のズレを整え、ゴワゴワしてまとまりにくいブリーチ毛を、しなやかで扱いやすい状態へと導きます。オイルなのに重すぎず、サラッとした指通りになる仕上がりが人気です。
| 特徴 | ブリーチ毛特有のゴワつきを抑え、しなやかにまとめる |
| 価格帯 | 約2,343円前後(120ml) |
| メリット | 髪が柔らかくなるのを実感しやすい ベタつかず、サラッとした仕上がり ブリーチ毛に特化した処方 |
| デメリット | 非常にしっとりさせたい方には物足りない場合がある |
ケラスターゼ BL ユイル シカエクストリーム
【こんな人におすすめ】
- 複数回のブリーチやハイトーンカラーで髪が深刻に傷んでいる方
- 髪の切れ毛や枝毛を防ぎたい方
- 保湿と補修の両方を高いレベルで求める方
ケラスターゼのハイトーンカラーヘア向けライン「ブロンドアブソリュ」の中でも、特にダメージレベルの高い髪に向けたヘアオイル。保湿効果の高いヒアルロン酸と、補修効果のあるエーデルワイスオイルを配合。髪をコーティングして切れ毛を91%防ぎ、うるおいとツヤを与えながら、軽い質感に仕上げます。
| 特徴 | 深刻なダメージのハイトーンヘアを保湿・補修・保護する |
| 価格帯 | 約5,940円前後(100ml) |
| メリット | 高い補修力と保湿力 ドライヤーの熱から髪を守る 軽い仕上がりでベタつかない |
| デメリット | 価格が比較的高め |
モロッカンオイル トリートメント
【こんな人におすすめ】
- 髪のパサつきがひどく、しっとりとした潤いが欲しい方
- 髪の広がりを抑え、まとまりを良くしたい方
- エキゾチックで甘いバニラの香りが好きな方
世界中で愛されるヘアオイルの定番。保湿力に優れたアルガンオイルを配合し、乾燥しきったブリーチ毛に深いうるおいを与え、しっとりとまとまりのある髪に導きます。ツヤ感と指通りの良さは格別で、スタイリングのベース剤としても非常に優秀です。特に髪が太い方や、広がりやすい方におすすめです。
| 特徴 | 高い保湿力で髪をしっとりとまとめ、ツヤを与える |
| 価格帯 | 約5,500円前後(100ml) |
| メリット | 保湿力が高く、広がりが収まる ツヤが出て指通りがなめらかになる 特徴的で人気の高い香り |
| デメリット | 細い髪の方がつけすぎると重くなることがある |
ブリーチ後のヘアケアに関するよくある質問(FAQ)
Q1. ブリーチした日はシャンプーしてもいいですか?
A1. ブリーチやカラーをした当日は、髪と頭皮がデリケートな状態にあり、また色が定着していないため、シャンプーは控えるのがおすすめです。できれば24時間以上は時間を空け、翌日の夜にシャンプーするのが理想的です。
Q2. ブリーチ毛に紫シャンプー(ムラシャン)は使った方がいいですか?
A2. はい、使うことを強くおすすめします。ブリーチした髪は、時間とともに黄色みが出やすいです。紫シャンプーは、その黄色みを補色の関係にある紫の色素で打ち消し、きれいなハイトーンを長持ちさせる効果があります。週に2〜3回程度、通常のシャンプーと置き換えて使うのが効果的です。
Q3. 髪を乾かさずに自然乾燥させるのはダメですか?
A3. 絶対にやめましょう。髪が濡れている間はキューティクルが開きっぱなしで、最も無防備でダメージを受けやすい状態です。栄養分や色が流れ出てしまうだけでなく、雑菌が繁殖して頭皮トラブルの原因にもなります。お風呂から出たら、できるだけ早く乾かすことを徹底してください。
まとめ:正しい「ダブル使い」で、ブリーチヘアを長く楽しもう
今回は、ブリーチ後のデリケートな髪を守り、美しく保つためのトリートメントケアについて詳しく解説しました。
ブリーチ毛のケアで最も重要なのは、
- 洗い流すトリートメントで「内部を補修」
- 洗い流さないトリートメントで「外部を保護」
この「ダブル使い」を徹底すること、そしてそれぞれのアイテムの効果を最大限に引き出す「正しい使い方」を実践することです。
ブリーチは髪に大きな負担をかけますが、その分、丁寧なケアをすれば必ず髪は応えてくれます。日々の正しいケアを習慣にして、せっかく手に入れた美しいハイトーンカラーを一日でも長く楽しんでくださいね。